足を骨折した息子ちゃんのギプスも外れ、ホッと一安心したところに、悲しい報せが入った。
かけがえのない仲間が、ガンと診断されたというのである。
その報せを聞いた日は、偶然にも高校時代に亡くなってしまった親友の命日であった。
四半世紀の時を経て、悲しみに暮れた一日の再来を感じる。
彼の沈んだ声を聞いて、いてもたってもいられなくなった俺は、少し離れた街に住む彼の部屋までバイクを走らせた。
出迎えてくれた彼の顔を見れば、あまり普段とは変わらず、そんな宣告を受けたばかりの人にはみえない。
しかし、部屋に通されて現在の病状を説明されると、楽観視はできない状態にあるようだ。
嘘だと言って笑い飛ばしてやりたいところだけど、それをできる状況でないことが辛い。
(励ましにきたのだから……)
と、動揺しないように努めてみても、彼の気持ちを想うと自然と涙がこぼれ落ちそうになる。
「辛いときはさ、俺の書籍でも読んで、気を紛らわせてよ……」
自分の動揺を誤魔化すために、くだらない冗談を言ってみる。
すると、おもむろに立ち上がった彼は、なにも言わずに寝室の扉を開けた。
「もう、そうしてるよ」
枕元には、見覚えのある黄色い書籍が置いてあった。
涙を堪える術を失くした俺は、彼に気付かれぬよう涙をこぼした。
ああ、友よ。
色々と辛く苦しい道だと思うけど、君の病気は絶対に治るから、それまでは治療に専念してくれ。
やり場のない悲しみと、何もできない自分が辛いけど、日々お祈りして完治することを願っています。
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