Quantcast
Channel: 伊東ゆう Official Blog
Viewing all articles
Browse latest Browse all 988

無題

$
0
0

足を骨折した息子ちゃんのギプスも外れ、ホッと一安心したところに、悲しい報せが入った。

かけがえのない仲間が、ガンと診断されたというのである。

その報せを聞いた日は、偶然にも高校時代に亡くなってしまった親友の命日であった。

四半世紀の時を経て、悲しみに暮れた一日の再来を感じる。




彼の沈んだ声を聞いて、いてもたってもいられなくなった俺は、少し離れた街に住む彼の部屋までバイクを走らせた。

出迎えてくれた彼の顔を見れば、あまり普段とは変わらず、そんな宣告を受けたばかりの人にはみえない。

しかし、部屋に通されて現在の病状を説明されると、楽観視はできない状態にあるようだ。

嘘だと言って笑い飛ばしてやりたいところだけど、それをできる状況でないことが辛い。




(励ましにきたのだから……)

と、動揺しないように努めてみても、彼の気持ちを想うと自然と涙がこぼれ落ちそうになる。

「辛いときはさ、俺の書籍でも読んで、気を紛らわせてよ……」

自分の動揺を誤魔化すために、くだらない冗談を言ってみる。

すると、おもむろに立ち上がった彼は、なにも言わずに寝室の扉を開けた。

「もう、そうしてるよ」

枕元には、見覚えのある黄色い書籍が置いてあった。

涙を堪える術を失くした俺は、彼に気付かれぬよう涙をこぼした。




ああ、友よ。

色々と辛く苦しい道だと思うけど、君の病気は絶対に治るから、それまでは治療に専念してくれ。

やり場のない悲しみと、何もできない自分が辛いけど、日々お祈りして完治することを願っています。





万引きGメンは見た!/伊東 ゆう

¥1,575
Amazon.co.jp




万引きGメンは見た! [DVD]/佐田正樹(バッドボーイズ),清人(バッドボーイズ),仁科貴,武内由紀子,大仁田厚,本宮泰風

¥4,935
Amazon.co.jp


Viewing all articles
Browse latest Browse all 988

Trending Articles