枕カバーとシーツを交換するために、普段置いてある場所を確認すると、そこにはシーツしかなかった。
「枕カバー、どこにあるか知ってる?」
奥さんに尋ねてみても、決まった場所にあるはずだと冷たく返される始末だ。
「そこにないから聞いてるんだけど……」
冷たい返しに少しイラつきながら、決まった場所を再度探してみる。
でも、やっぱりない。
すると、夜中にガサガサと枕カバーを探し回る俺を見かねた奥さんが、娘ちゃん用の枕カバーを持ってきた。
不本意ながらも、大きさの合わない枕カバーを装着した俺は、どこか落ち着かない気持ちで一夜を過ごした。
その翌日。
「枕カバーあったよ」
とても嬉しそうな顔をした奥さんが、俺をバカにするように言った。
「どこにあったの?」
嫌な予感を抱きながら、見つけた場所を尋ねてみる。
「枕に二枚重ねされてたわよ。これじゃあ見つかる訳ないよね。ギャハハハハ……」
大口を開け、必要以上のボリュームで俺を嘲笑する奥さんの顔が憎らしい。
でも、返す言葉はひとつも見つからない。
今日も完璧だ。
そう我が身を呪う俺なのであった。