先週末、七年間指導してきた道場生が昇段審査を受けて、十人組手に挑戦した。
十人組手とは、一分間の組手を十人連続して行う荒行のひとつで、黒帯を取得するために乗り越えなければならない儀式である。
しかも、自分より大きな体躯を有する大人を相手に戦い抜かなければならないので、中学二年生の彼にとっては苛酷な試練といえるだろう。
俺の出番は、九人目。
すでに気力勝負となっている彼を相手に、左の下突きを入れて、右の下段廻し蹴りを叩き込む。
ここで情けをみせては、彼が巻く黒帯の価値が落ちてしまうので、心を鬼にしなければならないのである。
そして、見事完遂した彼は、立ち会われていた館長より昇段を許された。
入門時に見た小さい頃の彼を思えば、この逞しき姿は想像することもできなかった。
継続は力なり。
今後も稽古を続けて、さらなる成長を見せてくれることを願う。
おめでとう。