昨日の昼、創作活動に没頭していると、Mから電話がかかってきた。
「いま、どこですか？」
「家にいるよ。どうした？」
「もう成田にいるのに、なにやってるんすか？ 早く迎えに来てくださいよ」
もちろん帰国するのは知っていたが、迎えに行く約束などしていないので、何をやっているのかと言われる筋合いはない。
「じゃあ、待ってますから、早く来てくださいね」
このしと(人)は、一体何を言ってるんだろう。
呆れて絶句していると、そのまま電話は切られた。
三分後。
仕事に戻ろうとしたところで、再度電話がかかってきた。
携帯の画面を見れば、またしてもMである。
「今度は、どうしたの？」
「そういえば、バイク借りれますよね？ いつ取りに行ったらいいですか？」
「仕事で使ってるから、今回は難しいなあ」
「えーっ！ それじゃあ、俺、どこにも行けないじゃないすか？ ホント勘弁してくださいよ……」
勘弁してほしいのは、こちらの方だ。
たかりの天才、ここにあり。
空港に着いた途端に、たかり始めたMの厚かましさに、返す言葉すら見つからない俺なのであった。