五時半過ぎには浅草を出たので、どんなに遅くとも六時半までには、家に帰れる予定だった。
浅草からタクシーに乗り、鶯谷で山手線に乗り継ぎ、池袋で私鉄に乗り換える。
ここまでは、なんとかうまくたどり着いた。
しかし、相当に酔っていたこともあって、私鉄の発車待ちをしているうちに、俺は眠ってしまった。
鳴り響く発車ベルに反応して、慌てて飛び降りる。
あれ、まだ池袋だ。
間違いに気付いて振り返ると同時に、乗らなければならない電車の扉は閉まり、俺をホームに残したまま発車していく。
やっちまった。
寝ぼけていたせいで、とっさに電車を飛び降りた自分を笑う。
発車時刻を知らせる電光掲示板をみると、次の電車が発車するまで、十五分くらいかかるようだ。
発車待ちの車両に乗り込んだ俺は、またしても眠ってしまったが、今度は降りるふたつ前の駅で目を覚ました。
その駅は、急行の通過待ちをする駅なので、停車時間が少し長い。
眠くて仕方のなかった俺は、到着予定である四分後にアラームを鳴らすようセットし、ヘッドホンを装着して眠る。
四分後。
ヘッドホンから鳴り響く鐘の音に、俺は飛び起きた。
そして、電車から降りようと立ち上がると、すぐに扉は閉まった。
我が身の完璧さを呪いながら、降りるべき駅を通過して、車窓から我が家を眺める。
こんなに早く帰りたいのに、なんの用もない隣駅に向かう気持ちは、筆舌に尽くし難いほど鬱陶しいものだ。
そして、一つ先の駅で電車を降りた俺は、地下通路を渡って反対側のホームに行き、電車の到着を待った。
発車時刻を知らせる電光掲示板をみると、次の電車が来るまで、またしても十五分待たなければならないようだ。
なんの目的もない早朝なのに、電車を待つだけで四十五分もの時間を費やしている自分に気付いた俺は、おのれの完璧さに呆れた。
結局、家にたどり着いた時間は、予定から一時間以上も過ぎた午前七時半であった。
酔っている時の俺は、王者級に完璧なのである。
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電車でGO……
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