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兄弟分

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珍しく朝早くに電話が鳴った。


仕事の話かと思い飛び起きてディスプレイを確認すると、兄弟分といえる仲の萩ちゃんからであった。

こんな時間に電話してくるのは、初めてのこと。

なにかあったのかと、少し不安に思いながら電話に出る。

「おはよう。どうしたの?」

なにを言われても動じないよう、目を覚ましながら用件を尋ねてみると、朝だからか、いつにも増して爽やかな声で彼は言った。

「ごめんなさい、朝早くに……。寝てましたか?」

「いやいや、寝てたけど大丈夫よ。どうしたの?」

なにか頼みごとでもあるのだろうか。

どこか心配気な様子の彼に、再度用件を尋ねてみると、予想外の言葉が飛び出した。

「あの、祐くん。昨日は検査結果が出る日だっていってましたよね? 結果は、どうでしたか? それが気になって仕方ないから連絡してみました……」

意外な用件を聴いて少し動揺する。

そう……。

実は、最近肩や首、腰の具合が悪く、大学病院で精密検査を受けた結果、首の靭帯が石化して最悪は四肢が麻痺して動かなくなるという原因不明の難病「頚椎後縦靭帯骨化症」と診断されたのだ。

発症する前に手術をしなければならない病気なので、さらなる精密検査を受けて手術の必要があるか、担当医に判断してもらったのが昨日のことである。

先週ウチで飲んだ時に、そのことを話したため、それ以来気にしてくれていたようだ。

「いますぐ手術する必要はないってさ。首を切るなんて手術はこわすぎるからなあ。とりあえずは、よかったよ」

そう診断されたと彼に伝えると、我がことのように喜んでくれた。

「よかった。心配でしたが、ひとまず安心しましたよ。これで稽古に集中できます!」

いくつになっても、自分を心配してくれる人がいるのは嬉しいものだ。

優しい彼の言葉に感動してしまい、涙を堪えるのが大変でした。


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(自宅にて。右が萩ちゃん、左は恭士郎こと恭平)

兄弟、ありがとう。









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