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トイレ

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「うーん、お腹が痛い…」

起床してから、すぐに腹の痛みを感じた。

昨夜は少し飲みすぎたので、それが原因だろうか。

眠い目をこすりながら、トイレへと急ぎ、素早く便座に腰を下ろす。

「パパ~っ」

するとまもなく、俺を呼ぶ息子ちゃんの声が聞こえてきた。

いつもならトイレに入っていようが構わずに扉を開き、遠慮なく用件を言ってくるのだが、いまは足を骨折しているので、なにかあると大声で俺を呼ぶのだ。

「どうしたの?」

「トイレ~っ」

腹の痛みを抱えながら個室から応えると、トイレに行きたいと言うので、嫌々ながら駆けつけて用を足させる。

「ふう…」

息子ちゃんをベッドに戻し、再び便座に腰を下ろした俺は、一度引っ込ませたアレを出そうと気張った。

しかし、無理に便意を喪失させたので、なかなか素直に出てこない。

(ちょっと苦戦しそうだな…)

苦闘していると、ようやく便意が甦ってきた。

(もう少し…)

そんな状態でいると、またしても邪魔が入った。

ピンポーン ピンポーン

「パパ~っ、誰か来たよ~」

いつもなら無視するところだが、息子ちゃんがしつこく呼ぶので、またしてもアレを引っ込めて仕方なく応対する。

「郵便でーす」

絶妙過ぎるほど間の悪いタイミングで訪れた郵便配達人に対して、少し恨めしげな対応をした俺は、さっさと荷物を受け取ってトイレに戻った。

でもやっぱり、無理に引っ込ませたアレは、なかなか出てこない。

(おなか痛いよう…)

腹の痛みを堪えながら、アレが出てくるのを、じっと待つ。

ピンポーン ピンポーン

「パパ~っ、また誰か来たよ~」

今度は、宅急便である。

言い知れぬ心地悪さを抱えたまま、仕方なく応対する。

そんなことを繰り返しているうちに、腹の痛みは収まってしまった。

(邪魔ばかりしやがって…)

結局、トイレの神様に見捨てられた俺は、次に訪れる便意を待つことにした。

その間に用事を済ませ、その時が来るのを待っていると、いきなり激しい便意に襲われた。

(今度こそ…)

急いでトイレに駆け込み、便座に腰を下ろす。

起床してから二時間も経っていないのに、ここに座るのは、もう四回目である。

「パパ~っ、ウンチ出ちゃう~」

あろうことか、トイレにいる俺に向かって、またしても息子ちゃんが叫んだ。

今日の俺は、いつにも増して完璧だ。




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