昨夜は、学生時代からの遊び友達である、ファッションクリエーター・I氏と遊んだ。
おしゃべりを自認する彼といると、あまり喋らなくてすむのがいい。
夕方五時に池袋で待ち合わせ、まずはTimes SPA RESTAのサウナで、ガッチリと温まる。
サウナ上がりのビールは格別に美味かったが、横にいたおばちゃん泥酔客の大騒ぎぶりには、ひどく閉口させられた。
そのおばさんは、デカイ声で話すだけではなく、大音量のしゃっくりをしていて、非常に耳障りであった。
高級感のある綺麗な施設に泥酔客がいると、折角の雰囲気は壊され、すべて台無しになる。
外にいる酔っ払いより、数倍は性質(タチ)が悪い。
おばちゃんのしゃっくりに嫌気のさした俺達は、早々とラウンジから引き上げて、都電の駅に向かって歩いた。
今日の目的であるファイト餃子は、東池袋から四つ先の駅、庚申塚にあるという。
久しぶりに乗る都電は、下町情緒にあふれていて、木目調の車内に乗り込むとノスタルジックな気分を味わえた。
辿りついたファイト餃子も、昭和感あふれる店構えであった。
昭和世代の俺達は、こういう店に弱い。
お新香をツマミに、ビールを飲みながら、ファイト餃子の登場を待つ。
十分ほど待つと、噂のファイト餃子がやってきた。
パン生地に似た食感の皮に、野菜中心の餡が詰められた餃子は、ニンニクを使用していないので味が少し薄い。
でも、いくら食べても臭わないので、結局は25個もの餃子を二人で平らげ、つぎの店へと向かった。
食堂・鮮。
魚屋さんが経営する居酒屋だ。
刺身をツマミに、熱燗をいただく。
寒空の下で冬を感じた俺達は、体を震わせながら家路についた。
あの、しゃっくりさえなければ、言うことなしだったのに。
それだけが、残念な夜であった。