一昨夜は、仲間の店でMと飲んだ後に、近所のお好み焼き店に寄って、もんじゃを食して一日を締めた。
(油臭くなっちゃったな……)
家に帰ってアウターを脱ぐと、あの独特の嫌な臭いが鼻につく。
二日続けての飲み会を終えて、三日酔い確実な状況ではあるが、人一倍敏感な嗅覚は失われていないようだ。
(丸洗いできるやつだから、明日洗濯してもらおう)
油臭い服を部屋に置いて眠るのは嫌なので、洗い場の洗濯カゴに入れて臭いを遠ざける。
翌朝。
「服の臭い凄かったけど、どこで食事したの? 」
より鋭い嗅覚を持つ嫁が、洗濯し終えたアウターを干しながら俺を睨んだ。
「お好み焼き屋だよ……」
「どうしたら、こんなに臭くなるのかしらねえ」
朝から不機嫌になった嫁を避けるべく部屋に逃げ戻った俺は、やりかけの仕事に取りかかって時を過ごした。
夕刻。
愛犬アンディの散歩に出かけようと準備すると、カバンに入れたはずのヘッドホンがないことに気がついた。
思い返せば、一軒目の店に入る時に耳から外して、確かにしまった記憶がある。
でも、その場所が思い出せない。
(あれ、どこに入れたんだっけな? 店の中では出してないから、忘れるはずないし……)
などと考えていると、酒に埋れていた記憶が突如として甦った。
あ……、
アウターのポケットだ!
早く散歩に連れていけと、大きな声で吠え続けるアンディを尻目に、ベランダで揺れるアウターに駆け寄ってポケットを弄る。
(やっちまった……)
洗濯されたヘッドホンを片手に絶望する俺に、いつもは優しい次女ちゃんの冷たい視線が追い打ちをかける。
「ヘッドホン、洗っちゃったんだ。もったいな~い」
「まだわからないよ」
強がってみたものの、本心では(これじゃあ、もう使えないだろうよ…)と思っていた。
そう諦めつつも、iPhoneにジャックを差して、その動作を確認してみる。
(おい、嘘だろ……)
驚いたことに、なんの問題もなく音は鳴った。
防水機能などないはずなのに、いつもと同じ様に、好みの音を鳴らし続けている。
ヘッドホンって、スゴイな。
今日の俺も、完璧だ。
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洗濯
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