ウチの前には、盗難防止アラーム機能がついているスクーターが、いつも停まっている。
盗難防止アラーム機能とは、設定中にバイクを動かすと、けたたましい警告音を鳴り響かせる防犯機能のひとつだ。
この設定を解除するには、キーを回すしかない。
よって、キーを回さないままシートに跨ってしまうと、当たり前に鳴ってしまうのである。
ピーピーピーピーピーッ
この音を初めて聞いた時には、もしやバイク盗かもと思って、わざわざ確認しにいったものだ。
しかし、一週間の内に何回も聞かされているうちに、それをする気もなくなった。
なぜなら、昼夜を問わずアラームを鳴らす犯人が、そのスクーターのオーナーであることが判明したからだ。
そのしと(人)の名は、M。
言わずとしれた、第二代完璧な人王者である。
シートに跨る前にキーを回せばいいものの、購入から半年近くたった現在も、未だにアラームを鳴らし続けるMは、機能の動作を毎回点検しているのだろうか。
それとも、出動することを俺に知らせる合図として、あえてアラームを鳴らしているのであろうか。
はたまた、学習能力が欠けているから、キーを回さないままシートに跨ってしまうことを、日々繰り返しているというのか。
Mよ!
出かける度に、そのアラームを鳴らすのは、そろそろやめてくれ。
はっきし(はっきり)いうと、耳に触るその音を聞かされるのは、すごく迷惑なんだ。
でも、こういった日常を送っているところに、完璧な人王者の凄みを感じてしまうのも事実だ。
だから、どんなに頑張っても(決して頑張ることはないが)、まるで勝てる気がしないのである。
もう、絶対王者だな。